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天気の子の英語でのタイトル(英題)

映画「天気の子」の英語でのタイトル(英題)は「Weathering With You」です。

なぜ英語でこのタイトルなのか?

新海誠監督自身が2018年の制作発表会の場で次のように語っています。

「『Weather』という気象を表す言葉を使いたくて。これには嵐とか風雪とか、何か困難を乗り越えるという意味も含まれるんです。映画は何か大きなものを乗り越える物語でもあるので付けました。」

引用元

なるほど、「Weather」を名詞としてだけでなく動詞としても使って2つの意味を持たせているんですね。

という事は、「あなたと困難を乗り越える」と言いたかったのかなと思いますが、そうだとすれば個人的にはちょっとその英語タイトルは無理があるように感じます。

「Weathering With You」のタイトルに違和感を感じる理由

英語で「weather」には主に次のような意味があります。

名詞:天気、天候、気候
他動詞:(嵐・困難などを)切り抜ける、乗り切る、乗り越える
自動詞:(外気で)変色する、色あせる、風化する

ここで注目して頂きたいのが新海監督の語った「乗り越える」とう部分、この意味は他動詞なんです。文法的に言うと他動詞は「〇〇を」のように目的語を必要とします。その為、例えば「嵐を乗り切る」であれば「weathering the storm」のように目的語が必ず入ります。

「Weathering With You」の場合は目的語が無いので自動詞の意味になります。
直訳すると「あなたと色あせる」「あなたと風化する」という意味になります。意味が分かりませんね(笑)
※念のためCambridge英英辞典、 Longman英英辞典 、 Oxford 英英辞典でも「weather」の意味を調べましたが、自動詞に「乗り越える」という意味はありませんでした。

他動詞としての意味を知っている人であれば、なんとなくこんな意味かな?なんて想像出来るかもしれませんけど、詩的なタイトルで難しいです。
個人的にはもう少し英語のタイトルを考えるときに気を遣えば良かったのにと思ってしまいました。

尚、困難を乗り越えるを英語で言うとき、動詞は「overcome」を使う事が一般的なので「困難を乗り越える」は英語で「overcoming difficulties」、文章にするなら「I overcame difficulties.(私は困難を乗り越えた)」のように言います。

「あなたと困難を乗り越える」を英語で正しく言うのであれば「overcoming difficulties with you」の方が正しいです。ただ、これだと日本語タイトルである「天気」が入らないし・・・。タイトル決めはセンスなんでしょうけど、難しいですね。

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